昨日のブログに一部訂正です。
以前のブログに書きました以下の部分は、m は見掛けの質量とするのが正しい表現です。
波動関数の一つの解は次式で与えられます。ここで exp(x) は ex の意味です。
(2) Ψ(x, t) = exp(i (p・x - E t) / h')
さて、次に、時間は虚数的に振舞う、と考えた場合、どのようなことになるでしょうか。
ミンコフスキーの座標系に変換するためには、x0 = i c t より、t を x0/ic に置き換えます。これは -i/c を乗じることと同じです。速度および運動量には時間の逆数を含みますので、i c を乗じることでミンコフスキーの座標系に変換されます。
この置き換えを行いますと(2)式は次の形に変形されます。ここで、p0 はエネルギーを質量 m として与えたものです(E = m c2 の関係を利用して)。
(3) Ψ(x) = exp(-(p・x) c / h')
p と x は、時間が虚数的に振舞うという前提で書き下した4元ベクトルに相当します。(3)式の驚くべきところは、式の上には虚数単位 [i] が現れてまいりません。
実は、E = m c2 は4元運動量の時間成分なのですが、この式に現れる m は見掛けの質量としなければいけません。と、いうのは、4元運動量の時間成分は、静止質量に速度の時間成分が乗じられるのですが、運動している物体の場合、速度の時間成分は1とはならず、|v'|で割り返してやらなければならないのですね。
そういたしますと、日曜日のブログに出てまいりました hν0 = m0 c2 の m0 も、本来は見掛けの質量でなければならないこととなります。まあ、こちらは静止している物体の振動数を議論していると考えれば間違いではないのですが。
見掛けの質量というのは、速度の絶対値を1に規格化しないで議論できますので、便利な概念ではあるのですが、速度の絶対値は本来的に1に規格化されなければならないため、この概念自体は間違った概念です。
見掛けの質量を用いると式が簡単になるという利点があるのですが、同じ効果を発揮する他の手もあります。つまり、運動量の時間成分 p0 を使う、という手でして、これなら何の問題もありません。まあ、これが質量であることには気づきにくい、という難点はあるのですが、、、
ふうむ、他の手は m0 / v0 とするかですね。この v0 が4元速度の時間成分であって、通常はほとんど1である、ということが理解できていれば問題ないのですが、、、
ちなみに、p = m0 v という式は厳密に成り立ちます。
虚数時間の物理学、まとめはこちらです。最新のまとめ「虚数時間とファインマン氏の憂鬱」も、ぜひどうぞ。