田中奏歌市の7/10付アゴラ記事「石破さん、よくやってるではないですか! 」へのコメントです。
2022年までの為替レートは110円/$前後であった。それが最近150円/$近辺となっていた。単純に考えれば1.36倍である。単純に比較はできないとしても、トランプ関税は個人の恣意的なものではあるが、為替の高騰と考えるとどうだろう(もちろん、さらに80円/$まで上がるかもしれないが・・・)。
この為替レートが、恣意的なものではなく、各国の実力を反映したものであったらどうでしょうか。この30年、我が国のGDPはほとんど成長していない一方で、米国のGDPは3倍以上に増加している。これは、GAFAに代表される情報サービス業が世界を席巻したからなのですね。
今の米国は、1970年代の日本のような、独り勝ちの状態なのですね。でもこの独り勝ちに他国から文句が出ないのは、儲けたお金を貯めこむのではなく、盛大に使っているから。米国企業の価値が増して、多くの人が莫大な含み益を得る。これを大いに使うものだから、貿易収支は赤字になるのですね。
で、情報サービス業が大いに稼ぐと、為替レートはドル高になる。国内の産業を支えるリソース(ヒト・モノ・カネ)は情報サービス業に行ってしまう。その結果、ラストベルトに代表される旧来の産業は衰退する。これは、悪いことではなく、米国の産業がより利益率の高い産業に移行しているのですね。だけど旧来の産業で生きてきた人は困り、これを何とかしろと言う。これがトランプ氏の背後の事情というわけ。
で、旧来の産業製品に高額の関税を課すと。でもこれでは、情報サービス業の稼ぎが少ない他国は困ってしまう。まあ、打てる一手は、農業で妥協して工業を守ること。米国を工業国から農業国に向かわせれば、当面日本人の暮らしは立つ。そうして時間を稼いでおいて、情報サービス業もものにすれば日本の勝ちなのですが、さて、石破氏にこれがハンドルできますかどうか。
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