アゴラ編集部の10/21付けアゴラ記事「自民・維新連立で『飲食料品2年免税』浮上:物価高対策に現実味」へのコメントです。
維新が掲げる「飲食料品の2年間消費税ゼロ」は、一見すると庶民思いの物価対策に見えるが、実際にはインフレを悪化させ、財政赤字を拡大する危険な政策である。
結局のところ、「庶民の生活」と「物価の安定」と「財政赤字」という三つの要素をいかにコントロールして、庶民の生活苦を緩和しつつ、財政赤字も縮小する、このためにはいかなる手を打つのがベストか、という問題になるのでしょう。
よく見ますと、この目標の中に「物価の安定」は入っていない。物価が上がったところで、庶民の生活が楽で、財政赤字も縮小するなら、ここに何の問題もないのですね。つまり、物価が上がっても、同じ程度に給料が増えれば差し引きゼロだし、消費減税による物価上昇が税込み価格の上昇を招かないなら問題はない。税収の低下を、人減らしなどの行政の効率化でキャンセルできるなら、財政赤字という問題も生じないわけですね。
とはいえ、食品にかかわる消費税率ゼロというのは、さすがにやりすぎでしょう。8%を5%まで下げ、新聞は10%にするというのはありかもしれませんけど、これでは効果はあまり見えない。それよりも、自民維新共に賛成している給付付き税額控除(=ベーシックインカム)を早期に実現するのがベストのはず。それじゃ待てないというなら、一回だけ、現金を給付する、石破のミクスをやったらよい。これは、政策発動までの間の生活苦を改善する、「つなぎ」という意味合いなのですね。
もっとも、こう言った小手先の対応は、長期的な意味合いをほとんど持ちません。なすべきことは、国内での価値の創出を増大させること。これには、イノベーションを興し、稼げる国内産業を盛んにすること、これしかありません。それを実現するための人材を育て、彼らが活躍できる社会制度を準備する。政治にできることは、そういうことではないでしょうか。