アゴラ編集部の11/18付けアゴラ記事「長期金利が1.73%に急騰:無責任な積極財政で『日本の信認危機』か」へのコメントです。
政府を批判することが評論家の役割であることは理解しますが、読者の間違った判断を避けるために、いくつかのポイントを追加しておきますね。
まず、円建ての金利は日銀が決めるものであり、日銀が金利を引き上げる方向に動くと市場が予測すれば円建て債の価格は下落する。国債も例外ではありません。ただ、国債価格が下落しても損をするのはこれを保有している者で、政府の損になるわけではない。また、日銀の保有する国債は取得価額評価なので、市場価格下落の影響は受けないのですね。
第二に、為替が円安に動いている原因は、トランプ関税の影響が無視できないということ。関税は、貿易収支を黒字側に押す効果があり、ドル高の原因となるほか、米国のインフレ傾向を強め米金利上昇を招くことで、これもドル高の原因となる。さらには、日本の輸出産業の収支が悪化して、こちらも円安要因となるのですね。
為替というものは、人為的に操作すべきものではなく、各国経済の強弱を反映して自然に定まるもの。プラザ合意以前のドル円は200-250円/ドルで、これは円が安すぎることは確かだったけど、当時の妥当なドル円は165円程度と考えられていた。これは、日本の電機・自動車産業の競争力がダントツの時代で、現在のドル円がこれよりも多少円安側にあっても不思議はないのですね。
我が国の財政問題に関しては、税収の推移も重要なポイントであり、民主党時代と比較すると近年の税収はほぼ二倍となっております。これは、消費税増税の効果もありますが、大きな理由は国内産業の活発化で、行き過ぎたドル円の是正がその主な原因なのですね。これら、本エントリーが省略した部分を補えば、現状はさほど悲観するものでもないとご理解いただけるのではないでしょうか。