池田信夫氏の11/23付けアゴラ記事「政府債務を踏み倒す『3%のインフレ税』がやってきた」へのコメントです。
基本的に、国民が経済的な豊かさを手にするためには、国内で創出する価値を高める必要がある。国内で創出した価値以上に消費するには、過去に積み上げた資産を減らすか、借金を増やす必要があり、長続きできるものではない。国内で創出する価値を増やすには、価値を生み出すインセンティブを増やせばよいのですね。
で、物価が上がると、買い手の負担は増すけど売り手の利益は増加する。消費者には損だけど、生産者には得なのですね。これは、価値を生み出すインセンティブを高めることに他なりません。実は、これは「神の見えざる手」の一つで、物価を介して生産と消費がバランスする、古くから知られた経済原理なのですね。これを無理に物価を抑制すると、生産が減少して、みんなが貧しくなってしまいます。
民主党政権時代の経済運営もこれに近い形で、1ドル80円を割る極端な円高が続き、物価は抑制され、国民生活は豊かになったのですが、生産工場は海外に逃避し、国内で創出する価値が減ってっしまった。野田政権時代には、政府の税収を借金が上回り、消費税増税に追い込まれてしまったのですね。
ここで増税を選択したのは、我が国の官僚がいかに優秀であったかという証左であり、アルゼンチンみたいなことにはなりそうにないと安心できる材料です。もう一つは、工場の海外逃避もある意味余裕の表れで、国内工場を閉鎖しただけでは、技術も資本も失われてしまうところでした。
とはいえ、国内で創出する価値を増やすことが経済活動の目標であり、プラザ合意以降進んだ行き過ぎた円高を元に戻すこと、遅ればせながらも情報革命にきちんと乗ること、我が国が抱える優秀な人材をきちんと生かし、特徴のある技術で価値を生み出す体制を作ることなどが急務となります。この一方で、インフレで困窮する人々への手当も忘れちゃいけない。高市氏の政策は、まずこの線であると、理解しております。これ、それほど間違ってはいないと思うのですが。