コンテンツへスキップ

専門職倫理規定と雇用側の配慮

岡本裕明氏の11/28付けアゴラ記事「賃金の『K字化』は起こりえるか?:格差が時間と共に開いていく社会」へのコメントです。


「人は努力し、成長するべき」なんて言いますが、それをずっと維持できる人なんてごくわずかしかいないのです。では組織の中で生き残るのはどうしたらよいのでしょうか?案外、人間臭いコミュニケーション能力、愛社精神、まじめに勤めるとか、上司への「報連相」といった形が評価されたりするのです。つまり仕事の内容の外側の部分です。職能が身体能力なら人の評価は性格とも言えます。

これはまずいと思います。実は、経営問題を起こしたいくつかの会社(フジメディアホールディングスやGMなど)で、事態の深刻化を招いた理由に「忠誠心」がありました。能力を度外視し、上司に対する忠誠心で昇進を決める。その結果、不道徳が蔓延し技術競争に負てしまいました。(詳細はこちらのブログに)

ここは、社員に能力向上を求める、正攻法でやるべきところではないでしょうか。例えば、Association for Computing Machinery(ACM:米国計算機協会、計算機学会とも)は、会員が守るべき倫理規定である「ACM倫理規定および職業行動規範」を定めております。これは、専門能力で高い処遇を得る専門職の人の誰しもが守るべき規定であるように思えます。その一節に以下があります。https://www.acm.org/diversity-inclusion/code-of-ethics

2.2 専門的能力、行動、倫理的実践について高い基準を維持する。

高品質なコンピューティングは、個人およびチームが個人として、そしてグループとして、専門的能力の獲得と維持に責任を持つことによって実現します。専門的能力は、技術的な知識と、業務が展開される可能性のある社会的文脈への認識から始まります。また、コミュニケーション能力、内省的分析能力、そして倫理的課題を認識し、対処する能力も必要です。スキルの向上は継続的なプロセスであるべきであり、独学、会議やセミナーへの参加、その他の非公式または公式の教育などが含まれる場合があります。専門組織や雇用主は、これらの活動を奨励し、促進する必要があります。

スキルの向上は、従業員の自主努力も必要ですが、雇用側でもより上位のジョブに引き上げるための配慮が必要です。つまり、トレーニングや教育の機会を与えるなどですね。そうして、個々の社員が高い能力を持つとき、会社も発展する。そういうものではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です