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天才数学者、株にハマル、という本、なんか面白い

この方、アメリカのITバブルで、ワールドコムという、まあ、日本で言えばソフトバンクみたいな会社の株で大損したんですね。で、その顛末やら、株式市場について、ありていに言えば、株価の予測について、ご専門の数学の知識をフルに使って述べた本、といえば良いのかな? やけっぱち、八つ当たり、鬱憤晴らしみたいな要素も多分にありますけど。

しかし、その専門知識、これは大したものです。で、株価予測に関する二つの説、株価は全ての情報を織り込んで決まっているものだから、将来は予測できない、とする説と、種々のテクニカル分析(株価の動きを予想する方法ですね)を使うと、確かに利益が出るということが実証されているという記述、なんか、矛盾した二つの話が、ぽーん、と書かれており、その矛盾が解消されてない。、、、

結局のところ、世界はそれほど理想的には出来ていない、ということを理解しないといけない。実際、天才数学者ご自身にしたところで、相当に非合理的な行動、しているわけですからね。

世界の理想からのずれ、コレは考えてみる価値がありますねえ。それが利益の元ならば、、、

まず第一に、予測不能という説、全ての投資家が賢く、自由であることが前提、でも、実際には、損を承知で売るヒト(代行返上売りみたいな)とか、信用買いの期日が来ちゃったりして、嫌でも売らざるを得ないヒトもいますし、あまり賢いとは、お世辞にも言えそうにない投資家も、多数おられます。

第二に、投資家の多くはテクニカル分析を用いて投資行為を行っている。特に業務として投資している人たち、利益を目的とするファンドマネージャなど、己の行為が合理的であることが説明できなくちゃいけません。仮に、テクニカル指標が当てにならないものであるとしても、そういう指標が業界の常識として存在する以上、それは、己の行為の説明になる。そして、多くの投資家がテクニカル指標を参考に株を売り買いすると、その結果として、テクニカル指標は株価の動きを指し示すことになるのですね。

テクニカル指標が、原理的には正当性が疑わしいにもかかわらず、常識になってるものだから、実用的には役に立つ。で、結果的に、正当なものとなって、業界の常識として存在すると、、、なんかおかしな理屈ですね。トートロジー(循環論理)といいますか、鶏と卵の関係といいますか、、、しかし、卵は鶏が産み、鶏は卵から生まれるのも、また、厳然たる事実なんですねえ。結局のところ、テクニカル指標は当てになるのだし、使わないのは損、ということになります。

で、数学者が間違える理由は簡単、世界は、数学が前提とするような理想的なものではない。その結果、普通の投資家よりもはるかに優秀な頭脳を持つ数学者、大損するわけです。つまり、この時点で、私の仮説、証明されているんですねえ。(後付けだけど)

結局このヒト、何を言いたいのか、良く判らない。ま、その気持ち、良く判るんですけどね。でも、こいつが損をしたのは、ある意味、当然であると、言えなくもないような、、、