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北朝鮮問題と小泉訪朝評価をめぐって

小泉訪朝への評価、これ実に面白い、なんていうと顰蹙モノかもしれませんけど、否定的なのが、家族会、マスコミ、民主党、自民党の一部、肯定的なのが、社民党、共産党、国民世論、こう並べると、なんか面白いと思いませんか? 通常の対立の構図と、ずいぶんと違う。

まず、家族会、コレはわかりやすいですね。子供を取り戻した2家族、この人たちは嬉しいでしょうけど、他の人たちのことを考えると素直には喜べない。民主党は、野党ですから、さしあたり政府のやることには反対、コレも判りやすい。

社民党と共産党が小泉訪朝を高く評価している。これ、違和感ありますねえ。なにしろ、この万年野党は政府のやること、大体において、ハンタ~イ、なんですね。

でも、この2つの政党、北朝鮮に近い。と、イウコトハ、今回の小泉訪朝、北朝鮮に有利な結果、というより、手玉に取られた、ってことじゃないのかな? その点が、自民党の一部に存在する、根強い批判的な立場なんでしょうね。

更に不思議なのは、マスコミの対応。朝日新聞などは、社民、共産に近い立場、なのに小泉訪朝に否定的。これ、多分、家族会の反応に引きずられたのではないかな?

で、国民の多くは評価する。これ、人質解放を伝えるテレビの影響が作用したのだと思いますよ。何しろ、解放された人たちを延々と放送する。そのほかの要素、絵的に訴えるものがなにもない。ふ~む、小泉さん、うまくやりましたね。

さて、私自身の評価ですけど、、、

あず、あんな交渉なら俺でも出来る、なんて町の声、思いっきり外してます。5人の解放があったのは、日本の首相という立場のヒトが行ったから。町のおっさんが何人訪朝したところで、何一つ、前進しなかったでしょう。首相が行った、5人解放された、この点だけは、肯定的に評価すべきです。

でもこのタイミングは、怪しすぎます。小泉年金問題隠し、ですね。その結果、根回し、準備が不足した。ジェンキンスさんの問題、その最たるもの。

これ、アメリカには引き渡しません、なんて念書、小泉さん書いて彼に渡してきたんだけど、今日のニュースでは、官房長官、強く迫られたら、引き渡さざるを得ない、かも、、、な~んてことを言っているのですね。小泉さんの念書、信じて日本に来てたら、ジェンキンスさん、ひどい目にあうとこだったかもしれませんねえ。

ジェンキンスさん、良く判っています。政治家を信じる奴は馬鹿、なんですね。

さて、食料、医療援助、コレは良いのではないかと思いますよ。現に飢えているヒトがいる、薬も足りない。取った取られたの問題ではありません。ヒトを助けるときに、政治的背景、考えない方が良い。人道的支援、とはそういうもの。

でも、米は高いからトウモロコシにしよう、なんて、けちな議論をしてますねえ。トウモロコシ、まさか、家畜のえさじゃないでしょうね。ココは、きちんとすべきところ、食い物の恨みは怖いというけど、恩も忘れないと思いますよ。

さて、残りの10人+α、コレはきちんと調べなくちゃいけません。その担保に食料、少しづつ渡す、なんてのは良いかもしれませんね。行方不明者調査団が食料と医薬品をお土産に持って行くとかね。

核兵器に関しては、私はあまり心配していません。北朝鮮の核兵器、人類を全滅できるものではない。他国にどんな被害を与えることが出来ても、ひとたび核を使えば、北朝鮮、ほぼ確実に、息の根を止められる。そんなことがわかっていないはずはありません。

もちろん、核を廃絶してもらうのは、非常に結構、自爆テロもありますからね。でも、普通の政府、それほど馬鹿じゃない。馬鹿では、北朝鮮といえどもまとめられない。もしかすると、金正日、小泉さんより賢いかも、なんてのが昨今の評価だし、、、

残る問題はジェンキンスさん。彼には、日本に亡命してもらうしかないような気がするのですが、、、ま、コレは本人次第、奥さんには気の毒な結果になるかもしれませんけど、どうしようもない。

あと、小泉さんの忘れたこと。

ヒトサライは犯罪だということを、金正日にわからせなくちゃいけない。リコール隠しとおんなじで、こんなやり方、先進国では認められない。コレが大きな問題であることを金正日が納得すれば、残りの10人、調査も大いに前進するはず。逆に、どうでもいいや、なんて思われてたら、いくらやっても無駄、というものです。この点だけは、しっかり釘を挿すべきでした。

というわけで、小泉訪朝、私なりに採点すると、百点満点で、一国の総理としてのポイントは55点、その積極性は買いますけど、年金隠しの疑惑、根回し不足、拉致は犯罪と認識させていないことなどなどマイナスも多く、及第点の60点はあげられません。

自民党総裁としてのポイントは75点。良い宣伝になりました。年金問題もどこかに消えたし、ほっとしている大臣も多いはず。だけど、元々の予定、来月にやった方が、選挙にはプラスが多い。それと、米国とのややこしい交渉、ジェンキンス問題を考えれば、まあ、75点というところでしょう。ちょっと甘すぎますかねえ、、、

ちなみに、純粋に日本の国益を、マキャベリの冷酷さをもって考えると、小泉訪朝0点。半島には緊張感を維持した方が、日本にとってはプラス。圧力を掛け続けて金正日政権の崩壊を待つ、という方向がベストでしょうね。

ま、この作戦には、窮鼠猫を噛むのリスクがあるし、人情の面でも受け入れ難い、結論としては、小泉訪朝、こんなものかなあ、といったところです。