今回のライブドア、ニッポン放送、フジテレビの一連の騒動、メディアビジネスを考える、一つのきっかけを与えてくれたように思います。
このブログ、最近は相場を読んでばかりいるのですが、元々はコミュニケーションの社会学、メディアの未来は、まさにこのブログのテーマでもあったのですね。
というわけで、いくつかのポイントについて整理、分析しておきましょう。
まず、メディアビジネスの外資規制ですけど、先の日記のコメント欄にも書いたのですが、いずれは意味をなさなくなる。今でも、ケーブルテレビならCNNやBBCを見ることができます。これらは、モロ、外資。いずれ各家庭に光ファイバーが引かれるようになれば、放送とネットの差はなくなる。外資規制、なんて言っていられるのは、放送局から放送する、古い技術でのみ意味があるのですね。
第二に、ネットと放送の融合ですが、これは、今でもいくつかの兆候が見られるのですね。
まず、最近のパソコン、テレビ放送を受信できるものも売れてまして、私の家にもこれがある。これ、置き場所が節約できまして、特に生活スペースに限りのある独身の人などには、嬉しい製品。でも、それ以上に嬉しいことは、ハードディスク録画ができる、ネットの番組表で録画予約ができる、ネットとテレビ、もう、融合してしまっている。深夜アニメファンには嬉しい機能、でもあるのですね。
テレビ付きPCと同じ発想のラジオ受信機能、これもありまして、私のVAIOには付いています。まあ、しかし、ラジオくらいの情報量であれば、ネットでも配信できるのですね。
ネットを通したTV番組の配信、NHKのニュースなど流れてますが、現在のADSLでは力不足。これが実用的になるには、やはり光ファイバーが必要でしょう。でも、音声のみのラジオなら、現在の技術水準でも、充分に実用レベルです。でも、処理しなくちゃいけないのが社会的問題。
一つは、放送を前提とした著作権処理でして、音楽CDを丸々ネットに流されたら、それを録音されて、CDが売れなくなってしまいます。ここは、一部のみを流すとか、音質に制限を加えるとか、何らかの縛りが必要でしょうし、著作権の扱いに関する社会的合意の形成も必要と思われます。
もう一つは経済的な問題なのですが、民放、どの道、無料放送、CMで元を取っておりまして、ネットで流した所で何の損もないのですね。そもそも、ネットラジオ、現在も存在しており、携帯電話で聞けるようになるなど、受信インフラが整備されてくると、放送局もうかうかできない。
さて、以前議論したのですが、自然な画像・映像や音声データにデジタル情報を乗せる技術、電子透かしと呼ばれる技術がありまして、違法コピーの流通経路の特定などへの利用が検討されてます。でも、この技術、一般的な音声・映像情報にデジタル情報を乗せる手段としても使えるのですね。
この技術を使うと、放送を見たり聴いたりしているときに、デジタル情報も送られてくる、パソコンや携帯で受信しているなら、画面上にURLなどを表示させることができます。これ、デジタルデータですから、クリックするとそのページに飛ぶこともできる。携帯やマイクの付いたノートPCなら、普通のテレビやラジオの音声からデジタル情報を拾い出すこともできるはずで、これが実用化されると、メディアの融合、一気に進みそうです。
とまあ、メディアの未来、現在の姿とは相当に異なるものが見えているのですが、その実現には、誰かが始めなくちゃできない。既存のメディア企業、規制の上に胡坐をかいていては何もできません。一方で、ネットの高速化はどんどん進むはずで、新しいメディアビジネスも続々と登場するはずなのですね。
堀江さんの狙いは、そんな世界でリーダーシップを取ることではないかと思うのですが、この世界、著作権の問題、放送をめぐる法規制などなど、社会的合意が多々必要でして、今のようなやり方では、その社会的合意を得る部分で、齟齬が生じそうなのですね。
今回の騒動を貴貨として、自らにも多少の反省をして、古い人々ともコミュニケーション取れること、それが、このビジネスを成功に導く鍵ではないかと思うのですね。