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文芸春秋「平成ホリエモン事件」には頓珍漢が大勢

文芸春秋の5月号は平成ホリエモン事件と題して、ライブドアのニッポン放送買収劇、これに対する評論を、色々な評論家がいろいろなことを書いているのですが、頓珍漢なのが多い中、一番まともなのが堀江社長へのインタビュー記事ですね。

一番の噴飯記事が立花隆、「ネットはメディアを殺せない」ですね。この人、最近どうなってしまったのでしょうか。ひょっとすると、ご病気かな?

インターネットが登場して、メディアの社会に与えた大きな影響の一つに、ゲートキーパーの喪失、という点があります。ゲートキーパーとは門番の意味。

つまり、古くは、編集者や出版社が、社会に流す情報を取捨選択していたのですが、インターネットの登場により、誰でも情報を大衆相手に流せるようになりました。(詳細は、私の論文の一節の終わり近くをご参照ください。)それが堀江社長の主張する、「一次情報に直接触れる」ということなのですね。

もちろんネットにゴミが多いのは周知の事実。でも、取捨選択、新聞社だけがするのでもなく、受け手がしなくちゃならないものでもないのですね。ネットで誰かがやれば良い。

一次情報の取捨選択が必要なら、それを行うページはアクセス数が稼げるはず。それが信頼に値する選択を行っているなら、多くの人が頼りにするはずで、宣伝を入れるなり会員制にするなりの、経済的にペイする方策もあるはずですね。

で、一次情報にアクセスできる仕掛け、というのがこの手のページにも必要でして、つまりはURLを入れておけば良いのですね。ライブドアの場合は、デイリーさくサク、あるいは、先日ご紹介した、ヤフーの掲示板を並べたページなどもその手合い。

もちろん、新聞が全部死滅する日がすぐに来るかといえば、そんなことはありません。今日でも、ネットを使わない人が多い。新聞のほうが電車の中で読みやすい。そんなことは、堀江社長、当然ご存知のはずで、しかしあえて、挑発的な言葉を使う。その言葉尻だけ捉えて批判しても、何の役にも立たないのですね。

そうそう、新聞とネット、実は非常に似通ったビジネスをしているのですね。新聞の購読料、ほとんどが新聞販売店の取り分であると言われています。新聞社がなんで稼ぐかといえば、新聞に掲載する広告料、というわけです。

ネットの場合も、利用者が払うのはプロバイダへの接続料でして、ページの運営者が利益を上げているとすれば、それは、バナーを使った宣伝代。

それを考えると、新聞というメディアが死んでしまったところで、新聞社困らない。新聞販売店を使う代わりに、インターネットを使えば良いだけの話なんですね。

堀江社長、新聞社を潰すとは言っていない。メディアを殺すと言っている。良く考えると、この時代の変化、先取りすれば美味しいビジネスも可能なはず。

そこまでの構図を思い浮かべれば、経済評論家の批判も応援も、どうにも的外れ。ホリエモンの足元にも及ばない、たわごと、のような印象を受けるのですね。