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BIGLOBEによる誤請求問題、その後の顛末

先週のこのブログでご紹介いたしましたビッグローブによる会費誤請求問題に付きまして、先方から文書が送られて参りましたので、その概要と、今後の対処についてご説明いたします。

第一に、<旧PC-VANご利用のお客様へ、有料料金化に関してのご案内方法について>と題する箇条書きがありますが、この表題自体、かなり誤解を招く表現です。

まず、旧PC-VANも無料サービスではなく、有料サービスです。従量制ではあったのですが。更に根本的な問題は、今回の変更は、パソコン通信の有料化(定額制のことをそういうのであるとしても)ではなく、メール、掲示板(会議室)、チャット、ソフトウエアダウンロードなどのサービスをモデムを介してセンターコンピュータと交信することで行う形態であるパソコン通信の契約を、インターネット上のチャットルームの有償サービス契約に切り替える、という変更です。

次に会員に対する連絡に関して述べられています。これは、事実の記載ということで、以下にそのまま引用しておきます。

・1998年9月21日      Web、PC-VANで告知
・1998年10月1日~23日  メール通知
・1998年10月29日~30日 ご登録住所に案内文を送付
・1998年11月        会員規約改定
・1999年3月4日~12日  メール通知
・1999年4月         有料化

ここで注目されることは、メール通知やPC-VANでの告知が多数なされているのですが、実際問題といたしまして、1998年には既にインターネットは普及の過程に入っておりまして、PC-VANは、少なくとも私は、使用していなかったのですね。ですから、そこでいくら告知されても、また、PC-VANの提供するメール機能を用いて通知されても、その内容は知る由もありません。この事情は、他の多くのPC-VAN会員にとっても同様であったのではないか、と推察しております。

唯一、情報に接する可能性があったのは、登録住所に送られてきた案内文であったのですが、その内容は、PC-VANの終了を伝えると共に、BIGLOBEへの加入を勧める、宣伝のためのダイレクトメールと、少なくとも私は受け止めたのですね。

で、この処置の後ビッグローブの取った処置は、「上記のご案内に関しまして、ご返信/ご連絡がないお客様におかれましては、継続してのご利用の意思があると判断させていただき1999年4月より課金を開始させていただいておりました」ということです。

これはしかしむちゃくちゃな話です。何よりもパソコン通信のサービスは打ち切っているのですから、継続利用、ということはありえません。普通に考えるなら、PC-VAN経由の告知に音沙汰のない会員は、既にこのサービスを全く利用していない、と判断するのが妥当ではないでしょうか。

更に、その理由たるや、以下のごとき噴飯ものなのですね。

ご契約を継続(課金)させていただきました理由といたしましては、お客様の意思の確認を行っていない状態で、サービスを停止することにより発生する莫大な影響(仕事上ご利用いただいているお客様や、株取引利用者様を含)などを考慮し継続させていただいておりました。

と、まあそういう理由を挙げているのですが、このご契約を継続、というその内容たるや、わいわいチャット60分限定サービス、なのですね。確かにパソコン通信の業務上の利用もあったのでしょうが、それはメールや会議室としての利用が主たるものと思われ、チャットはあまり仕事には使えないのではないでしょうか。ましてや株取引などをチャットでやる人が、果たして、いたのでしょうか。

とはいえ、「上記の点に付きまして、改めてご案内させていただきますとともに、当方からの案内が行き届かず、ご迷惑をおかけいたしました事を、お詫び申し上げます」としていただき、210円×82カ月分=17,220円の返金に応じていただきました。

まあこの返金、個人的には、当然のことであると思いますし、この行為自体は妥当なものであると考えているのですが、裏を返せば、私の口座からの会費引き落としに問題があったことを、ビッグローブ自らが認めている、ということでもあるのですね。

と、いうわけで、私の被害は回復される見通しなのですが、今回のPC-VANからBIGLOBEのわいわいチャット60分サービスへの一方的通告による契約切り替えが、果たして妥当なものであるのかどうかという点に関して、当事者側の理解がなされているようには、全く感じられませんし、他の被害者(ご迷惑をおかけされている人々)に対する処置がなされるようにも思われないのですね。

PC-VANからBIGLOBEへの契約切り替えに関しては、先週の本欄にも書きましたとおり、全く妥当性を書くものと私は考えております。この一方的な契約切り替えが不当なものである場合は、クレジット口座からの会費引き落としが不正なものである、ということになります。

その被害額ですが、会員数200万人以上を誇ったPC-VANですから、仮に会員の1%が被害を受けている場合ても3億円以上の被害総額、ということになりますし、それが10%近くになりますと30億円、という、かなり巨額の詐欺事件、ということになります。ここは公正な調査が必要ではなかろうか、しかし、これ以上をNECサイドに任せるのは無理であろう、というのが今の私の考えなのですね。

と、いうわけで、次のアクションに進もうと考えているのですが、この内容、および経緯に関しましては、その内容の性格上、しばし非公開、としたいと思います。いずれ結果が出ましたら、改めてご報告いたしますので、今しばらくの間、お待ちいただきたいと思います。


2018.11.4追記:しばらくお待ちくださいと書いてから12年、公式発表があれば追記しようと考えていたのですが、特段の発表がありません。でもその後、いろいろな動きがありましたので、WIkipediaと私の記憶を参照して、その後の動きを追記しておきます。

まず、このエントリーを公開したのは、2006年3月12日のことでした。その後ほどなくして2006年7月3日にNECは自社の一部門でありましたBIGLOBEを子会社である「NECビッグローブ株式会社」に移行させました。

NECがこのような行動に出た理由はわかりませんが、大きなリスクを抱える部門を子会社化し、いざという時に切りやすくすることは良く行われており、あるいは、私の指摘がそのリスクとして認識されていたのかもしれません。

実は、「と、いうわけで、次のアクションに進もうと考えている」と上に書きましたこの「次のアクション」とは、警視庁に一連の顛末を通報することだったのですね。

警視庁には、オンラインの告発を受ける窓口がありましたので、ややこしい話も、結構、簡単に伝達することができます。

ありそうなことは、警視庁からNECに問い合わせがいくということで、これに対してNECがどう対応したかはわかりませんが、不祥事を嫌う大企業が何らかの対応をすることは充分にありそうなことであると考えておりました。

BIGLOBE子会社化のニュースに接した時の私は「さては」と思い、どんなニュースが続くか注意していたのですが、なんのニュースも出てまいりませんでした。

本来あるべき対応は、PC-VANから勝手にBIGLOBEに契約を変更された非稼働会員の全員に会費を返金することでしょう。恐らくその総額は数億から数十億円に上るはずで、これを行えば何らかのニュースになっていたはずです。

つまり、ここまでの対応は、おそらくなされなかったのでしょう。

その後、2014年3月末にNECは同子会社の株式を日本産業パートナーズに全量売却し、NECとの関係を絶ちました。さらに、2017年1月末にはKDDIが全株式を取得し、BIGLOBEはKDDIのグループ会社となっております。

これらの過程で、旧PC-VANの従量制会員の扱いがどのようになっているかは不明です。一応私はニュースに注意しておりましたが、この件が問題になったというようなこともなく、会費を払い戻したというニュースも耳にしておりません。

もちろん、KDDIが、このような「非稼働会員」から現在に到るまで毎月の会費をとり続けているようなことは、ありえないであろうとは思いますが、、、