今日の株式市場は悲嘆渦巻く様相を呈していたのですが、私には無縁の世界。先日の日曜日、晴耕雨読を気取りまして訪れましたのが雨の神保町。マラソンの警備に忙しく動き回る警察官の姿を尻目に、何冊かの本を仕込んでいたのですね。
で、まずは軽そうな読み物から片付けております。と、いうわけでご紹介いたします一冊は、「デカルトの暗号手稿」。
このブログでも、かつて「デカルトの暗号」などという一稿を書いたりしたことがありました。この、近代知性の嚆矢とも言うべきデカルトの考えは、聖書に反する説を唱えるものを簡単に火あぶりにしてしまいますバチカンの存在ゆえか、どうも良くわからない部分が多いのですね。
で、その後、「デカルト入門」などをご紹介したこともありますが、あまりデカルトの正体に迫ることはできえていなかったわけです。
で、今回のこの本は、一言でいえば、良くできたデカルトの伝記。まあ、表題から受けます印象は、ダビンチコードの柳の下のどじょうを狙った、趣味悪の本、などというのが正直なところですが、デカルトの書物の謎に満ちた記述に興味津々の私にしてみれば、思わず手が出る一冊、ではあるわけです。
ま、ダビンチコードのノリを期待する人には、面白くもない、期待はずれの一冊となるでしょう。まあこれは、売れ行き狙いの出版社に責がありそうでして、原題を忠実に日本語に翻訳すれば、「デカルトの秘密の帳面」。こちらは内容に忠実な題名となっております。
この本の内容を一言で言ってしまえば、「デカルトは、バチカンを恐れて一部の発見を公開せずに秘密のノートに残しましたが、それは、数学上の大きな発見であったのでした」ということですね。ま、あまり詳しくご紹介するのは、これから本を読まれる方の興味を削ぎそうで、ちょっと遠慮した方が良いと思いますが。
勿論私の興味は、デカルトの哲学に関わる部分でして、心身二元論に関するデカルトの本意が知りたいところなのですが、残念ながら、このあたりのことになりますと、同書では触れておりません。
でも、デカルトの生涯に関する丁寧な記述は、まず、読んで損をした、などという気にはならない、充分なクオリティを持っているのですね。ま、詳細のご紹介は、同書に譲ることにいたしましょう。
その他、この本にはデカルトが暮らしたフランスはパリの、今日も変わらない町並みが描写されておりまして、今度行ったときに、サン・ジェルマンのあたりをちょいとのぞいてやろう、などという気にもさせられました。なにぶんパリは、京・鎌倉と並びまして、私が愛して止まない街。バチカンの権威におびえる哲学者が住むには、おあつらえの場所なのですね。ま、マドレーヌ寺院近く、とらやの氷アズキだけは許せませんが、、、
と、いうわけで、相場の低迷をよそに、本日は実に稔り豊かな一日ではありました。でも、未読の書物がまだたくさん。ま、今週は休日があるから何とかなりそう、なのですが、嬉しい悲鳴を上げている最近、ではあるのでした。