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「リアルバウトハイスクール」と日本アニメの要素

本日ご紹介いたしますアニメは「Samurai Girl リアルバウト・ハイスクール」です。最初にお断りしておきますが、このアニメはかなり安直なつくりであり、名作、というわけではありません。

アニメのほうは安直なのですが、wikipediaによりますと、元の小説「リアルバウトハイスクール」は長大な物語でして、その設定のみに基づく漫画「リアルバウトハイスクール」もまた長大なお話です。

まあ、原作は原作、アニメはアニメ、と考えていただくのが良いかと思います。ここではアニメに限定して議論いたしましょう。

このアニメは、キッズステーションという、ケーブルテレビにアニメを主に供給しております会社がはじめて手がけましたアニメ作品で、そういう意味では、以前ご紹介いたしましたmaico 2010と似たような生い立ちではあります。もちろん、キッズステーションはアニメを供給しているわけで、ラジオ局でありますニッポン放送よりはよほどアニメに近い会社ではあります。

で、このアニメですが、サークル系のノリでこさえてしまったような、エネルギッシュではあるのですが深みがまるでない作品です。深みのない分、アニメの構造ともいうべき部分が良く見える作品であり、日本アニメの構造を知る上では非常に参考になる作品であると思います。更に言ってしまえば、日本アニメのパロディーと考えて鑑賞するのも一興かもしれません。

そういえば、以前「シスター・プリンセス」という作品の話題が沸騰したことがありました。それも、あれがだめ、これがだめといった、作品をけなす話題で盛り上がったのですね。シスプリ、雰囲気は悪くはないのですが、つくりが少々安直に過ぎました。そのイライラ感がたまらない作品でもあったのですね。

と、いうようなことをご理解いただいたうえで、軽く内容をご紹介いたしましょう。

まず、ヒロインの御剣涼子(みつるぎ・りょうこ)は、剣道の達人でKファイト(彼女の通う大門高校名物の格闘技対決、喧嘩(K)ファイト)のチャンピオンです。料理が下手なのもお約束なら、ひそかにあこがれる先輩獅子倉達哉(ししくら・たつや)を追いかけるライバル霧林あずみがお嬢様の花形満的存在であるのもお約束です。

御剣のよきライバル草薙静馬(くさなぎ・しずま)は、それなりに強いし、理解もあるのですが、時々どじを踏むのもお約束です。その他、ヒロインを追うカメラ小僧、世話を焼きたがるメガネっ子、自閉症的な巫女鬼塚美雪、保健室のグラマーな先生など、この手のお話に出てきそうなキャラが一通り出てまいります。

ところが、これらのキャラは、それ相応の役割を果たしはするのですが、草薙、獅子倉の両名を除いては、物語の主要な部分には絡んでまいりません。リアルバウトハイスクールというアニメが厚みを欠いた物語となってしまうひとつの原因は、このような、登場人物間の関連性の薄さにあるのではないかと思います。

逆に言えば、おもしろいアニメを作ろうとすれば、登場人物間にさまざまなつながりを作ることがひとつの鍵となるのではないかと思います。先日のこのブログでご紹介いたしました「ヴァンデミエールの翼」の魅力を高めるひとつの要素は、物語の間のさまざまなつながりであったことがその好例です。人間誰しも奥の深さを持っており、その思わぬところが互いにつながっている、というようなお話を絡めることができますと、厚みのあるストーリーになるのではないかと思う次第です。

もうひとつの問題は、これは原作をきちんと読めば解決することであるのかもしれませんが、南雲慶一郎、鬼塚鉄斉というむちゃくちゃ強いキャラがいるのですが、この御両名は独自の論理で動いており、アニメの筋がかすんでしまいます。主人公をはるかに凌駕するキャラがストーリーとは無関係(というほどでもないのですが)に動き回るというのも、少々異様なお話であるように思われます。まあ、そのめちゃくちゃ加減がおもしろいのかもしれませんが。

そういえば、このアニメがパロディー的印象を与えているひとつの要素が第5話と第9話に出てまいります「オイスター・ルル」でして、この部分を深く考えるならば、やはり最初の印象が正しくて、このアニメはひとつのパロディーとして作られた、というのが正解なのかもしれませんね。まあ、深く考えるほどのものでもないかもしれませんが、、、

このアニメのユニークな点はKファイトとこれを実況する放送部員藤島夏美でして、解説者が校長というのもおもしろいところ。この藤島に特に目立つのですが、このアニメはバンチラが多く、これもサークル系のノリという印象を与えるひとつの要素です。私的には乳首のほうが歓迎なのですが、、、

このアニメ、ネット上では現在、Veohに日本語版のイタリア語字幕入りがアップされており、容易にチェックすることが可能です。読者の便宜を考え、以下にリンクを張っておきましょう。

第1話:サムライガール 見参!
第2話:史上最強の男 参戦!
第3話:剣の道 入門!
第4話:深遠なる少女の瞳
第5話:強襲! 凶ッ風
第6話:異世界よりの脅威
第7話:再戦! お昼の決闘
第8話:海と水着と幽霊島
第9話:大変身! 魔女っ子7人衆!
第10話:こいごころ
第11話:乙女の道
第12話:決戦は檜舞台
第13話:運命とのバトル

イタリア語を勉強しようという方には、好適な材料になりそうです。


2016.6.12追記

ご注意:ネット上に公開されているリアルバウトスクールは著作権者に無断で公開されているものが大部分であり、本ブログに掲げたURLの相当部分は既にリンク切れとなっております。原作にご興味のある方は、以下のDVDをご手配ください。