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原発事故をめぐる言葉の問題

今回の原発事故をめぐって言葉の使い方に違和感を覚えることがしばしばあります。

「水を注水」したら「白い白煙」が上がったというのも変ではあるのですが、問題は「事象」です。

「事象」という言葉の意味は「出来事」とか「現象」といった意味で、放射能漏れに対してこの言葉を使うのはあまりにも無責任、万引きで捕まった人が「出来心」と言っているのと何ら変わらない印象を受けます。

地震や津波は自然現象ですから「事象」と言っても間違いではありませんし、事故が起こった後で炉の温度が上昇したり白煙が上がったりするのも出来事であると言えるでしょう。

でも、爆発してけが人が出たり放射能が漏れて大勢が避難するに至った状況下で、これを「事象」すなわち単なる現象であると東京電力の役員が語るのを聞いてしまいますと、その当事者意識のなさ、無責任さには唖然とするばかりです。


ところで、「事象」と「事故」、英語に訳しますと“incident”と“accident”ということになるのですが、この用語はIAEAによります定義がなされております。つまり、深刻度がレベル4以上でアクシデント(事故)、レベル3以下がインシデント(事象)とされております。

東電関係者は、当初この事故がレベル3以下の、大した問題ではないと言いたかったのかもしれませんが、上記発表がなされておりました当時のレベルは既に4を超えておりますこと、自他共に認めておりましたので、もしもそういう意味で使用された言葉であれば不正確極まりない言葉であったということになります。(こちらもご参照ください。)そう言いたい気持ちは分からなくもありませんが、「盗人の三分の理、以下」であったと申し上げておきましょう。