本日は久々に相場を読むことといたします。
このブログでは、以前より折に触れて相場を読んでいたのですが、最近はご無沙汰しておりました。大過なく推移しておりますと、相場を読む必要などさほど感じなかったというのが実情ですが、ここにまいりましてきな臭い状況となっており、このあたりできちんと相場の先行きを読んでおかなくてはと考えた次第です。
私にそんな思いを抱かせましたきっかけが本日の東京市場。日経平均が700円を超す下げとなり、年初来の上げをほとんど消してしまいました。明日はリバウンドする可能性が高いと思いますが、本日開けました窓が埋まるかどうかは予断を許しません。日経平均のチャートは、中国の株価下落で大きく下げた後、保ち合い商況となっていたのですが、本日のケイ線は下放たれとなる可能性を示しております。
株式投資というものは、配当利回りが預金金利を上回っておりますので、ただホールドしているだけでも貯金しておくよりはまし、という側面があることは確かです。しかしながら、株式といいますものは、中長期的にみますと倍半分程度の値動きは普通に生じ、売り買いのタイミングを誤ると配当など消し飛んでしまいます。
逆に、売り買いのタイミングさえうまくとらえれば、配当利回り以上に値差で稼げるわけで、株式投資をする以上、相場の動きを読むことはなによりも重要ということになります。そういうわけで、ここにまいりまして本気で株の値動きを読まなければいけない、ということとなりました次第です。
さて、今日の世界経済を取り巻く状況は、ざっくり言ってキャッシュの不足、この先これがますます深刻化する方向にある、とみるべきでしょう。
その一つは、中国経済で、バブル崩壊を防止するため政府などの公的部門が株の買い支えに走っております。このため、中国政府はすでに米国債を一部売却し米国の不興を買っております。
もう一つが資源国の窮状で、原油価格下落により産油国の収支が悪化し、投資資金を引き揚げてキャッシュを確保する必要性に迫られております。これは、ロシアや中東諸国にとどまらない、資源国全体の問題となっております。
第三の問題が、米国の金利引き上げで、9月の引き上げは回避されましたが、FRBが年内に金利引き上げに動く可能性は高いものとみられております。米国が金利を引き上げれば、新興国への投資資金が米国に還流する可能性が高く、特に新興国でのキャッシュ不足が深刻化する恐れがあります。
キャッシュが不足すれば、株や不動産は売られる。世界の株価は下がるでしょうし、中国のバブル崩壊も避けられない可能性が高く、これがさらに世界同時株安に拍車をかけることになる、このような事態がいずれ起こることは覚悟しておいた方が良いでしょう。
しかしながら、では現時点ですべての株を売却してしまうべきか、となりますと、これが必ずしもそうはならない、と私は考えております。
世界の株価が大きく下げれば、日本の株価も下がること、これはやむを得ないといえるでしょう。しかしながら、日本固有の動きというものも当然あるわけで、こちらは、株価を上昇させる要素が多分にあるのですね。
まずは、為替が円安に移行するであろうということ。米国の金利引き上げは、それ自体が円安を引き起こします。もう一つは、来年に予定されております参院選で、安倍総理は負けるわけにはいかない、このためには、株価を維持しなければならない、という事情があります。安倍総理としては、盟友黒田日銀総裁と組んで、このために必要なあらゆる手を打ってくるでしょう。
日本の株価を上げるために打てる最も効果的な手は、元々のアベノミクスの第一と第二の矢を放つこと、すなわち、金融緩和をさらに推し進め、公共投資を膨らませること。さらなる金融緩和により為替は一段と円安が進み、輸出関連企業は潤うでしょう。
公共投資に関しては、たしかに土木作業員不足という問題はあるのですが、要はカネの問題。建設費が膨らむことを厭わなければ、他の業界から人材を集めることだって不可能ではない。そして、積極的な公共投資を行う格好の理由があるのですね。すなわちそれが「東京オリンピック」、全く良いタイミングに良いイベントがあったものです。
公共投資を行うための人材不足ということは、安倍政権にとっては、むしろ好都合であるともいえます。なんとなれば、人材を集めるためには、賃金を引き上げる必要がある。この波及効果により、日本全体の賃金水準が上がってくれますと、国内消費が上向きになるという効果も期待できるのですね。
その他、世界経済悪化の原因が、必ずしも日本経済にとって都合が悪いことばかりではありません。資源価格の下落にしても、世界経済を悪化させる要因である一方で、日本経済にとってはプラスの材料でもあるのですね。中国経済の悪化が、政治的な緊張を和らげる方向に作用すれば、東アジアの安定化にもつながります。世界的な経済不安に伴う円高さえ抑制できれば、我が国への悪影響は最小限に抑えることができるでしょう。
これらの背景を押さえたた上で、我が国の株価がどのように推移するか、という読みが問題となります。
先に結論を述べれば、なんだかんだ言ったところで、株価は下がらざるを得ない、これを基本認識とせざるを得ないでしょう。どこまで下がるかといえば、当面の下値メドが、日経平均にして15,000のあたり。つまり、高値水準でありました20,000レベルから1/4程度を下げたところと私は考えております。そしてこの水準が維持できなければ、次の下値は1万円、半値、というあたりでしょう。
で、具体的には、手持ち資金の配分として、第一の下値メドで1/3、第二の下値メドで1/3、底が抜けた際の予備として1/3の買いを計画しております。狙う銘柄は、ずばりトヨタ。VWの問題で、自動車株はこの先大きく下げる可能性があるのですが、ディーゼル車の評判が下がりますと、一番の利益を得るのがハイブリッド。そしてトヨタはハイブリッドでリーダー的存在なのですね。トヨタ株のこの先の値動きは、下げも上げも、かなりの幅となるのではないでしょうか。
なお、それぞれの下値メドで買いましたところで、そのまま下げ続けるであろうなどとは考えておりません。この先、様々なニュースに反応して株価は大きく上げ下げするでしょう。そうなればしめたもの。下げれば買い、上げれば売るだけの話です。この先は不安定な相場が続き、何度か大きく動く局面もあるのではなかろうか、と期待しております。
ちなみに、前々回の読みが大当たりであったのに対し、前回の読みは、必ずしもあたりというわけではないのですが、少々欲張りましたことが功を奏して、かなりの利益をあげております。ソニーの売りは少々早まりましたし、メガバンクの一部は売りそこなっておりますが、主力をキャッシュポジションにいたしましたことは大正解。この先の勝負、準備完了、といったところです。
なお、売りそこなったメガバンクですが、これはこのままホールド。アベノミクスの今後の展開にも、少しだけは期待しておきます。もっとも、この先大きく上げる局面があれば、さっさと売ってしまいたいところではあるのですが、、、