このブログに「トランプ大統領で、世界は、日本は、どうなるか」と題する記事を書きましたのは、大統領選挙でトランプ氏が勝利を収めたその日だったのですが、その後の展開は、ドル円も、東京株式市場も、かなり予想とは異なった展開となっております。為替は円安ドル高が進み、現在1ドルは109円の半ばまで円安が進んでおります。また、日経平均も本日終値17,862円と、直近高値をすでに超えております。
このような推移となりました理由につきましては、前回の記事でもちょっとだけ触れましたように、勝利演説の時点で、選挙期間中のさんざんなされた無茶苦茶な主張を引っ込め、極めて穏当な話しぶりとなったことがあげられるでしょう。
トランプリスクと呼んで市場関係者が恐れておりましたのは、トランプ氏がどんな無茶な政策を実行しないとも限らないという危惧であり、トランプ氏がまともな大統領になるのであれば、トランプ大統領の登場は、米金融規制改革法(ドッド・フランク法)の緩和や巨額のインフラ投資など、米国産業界にとって歓迎すべき事態となるのですね。
これを受けて、翌日のNY市場は、全く混乱は生じませんでしたし、翌日以降の東京市場の株価は大いに上げ、為替もドル高円安へとシフトしております。
そうなりますと、個人的には、今後の投資戦略をどうするか、見直しをしないわけにはまいりません。具体的には多少ホールドしております株をどのように扱うかが問題となります。そこで、本日は備忘録程度の感覚で、私の現在の作戦についてご紹介しておきます。なお、これをお読みの皆様は、それぞれ各自の判断と責任の下に行動されるよう、お願いいたします。
まず、大いに喜ぶべき点は、銀行株が大いに上げていること。これは、米国の金融規制緩和に対する期待からでしょう。私がホールドしております三菱UFJも大いに上げており、どこで利確するかが当面の課題となります。私の心づもりは、上限を800円とにらみ、その手前あたりで利確する予定です。ここは、取得価額が500円の手前ですから、800円の手前で利確できれば悪くはありません。
一方難しいのがトヨタでして、こちらはさほど上げておりません。日本の自動車メーカにとりましては、トランプ大統領は二重の意味で鬼門ではあります。まずトランプ氏は、TPPから脱退し、自動車の輸入には高率の関税をかけると主張しております。実は、米国で走っているトヨタ車の多くは米国で生産されているのですが、1/3程度は我が国から北米への輸出となっており、高率の関税をかけられますと多少の打撃とはなります。
もう一つの問題は、NAFTAからも脱退し、メキシコからの輸入にも高率の関税を課すと主張しております。トヨタもメキシコに工場があり、こちらも打撃となります。ただし、米国の自動車メーカもメキシコに工場を保有しており、この打撃はお互い様、米国内の自動車価格が上昇するだけで、トヨタの競争力にさほどのダメージも与えない可能性があります。
一方良いニュースといたしまして、米国が輸入に高率の関税をかければ、輸入が減少する。ドルの流出が減少することとなります。これは、ドル高円安の方向に為替を動かす効果もあるでしょう。これはトヨタの損益にプラスの効果があるのですが、さて、トータルのプラスマイナスがどうなりますかといえば、この点が少々わかりかねます。
ここは、トヨタにつきましては、あまり期待せずにホールド、と考えておくことといたしましょう。そして、他につられる形ででも、7,000円台の後半まで値を上げるようなことがありましたら、迷わず売り、といたしたいと考えております。といいましても、こちらは状況が少々苦しいことから、あまり期待せずに様子を見ることといたします。
為替につきましては、ドル円の5年チャートをみますと、不思議なことに、1ドル80円、100円、120円と、20円刻みで安定するゾーンがあるようにみえます。
と、いうことは、現在110円に向かっておりますドル円ですが、ここで安定する可能性は低く、このまままいりますと120円付近のゾーンまで円安が進む可能性もないではない。トランプ大統領登場で一時は低下したと思われました米国の12月利上げの可能性も、ここにきて再び高確率で利上げと考えられております。現在のドル円は、この予想をある程度織り込んではいるでしょうが、これが実施されますと、ドル高円安に一段と拍車がかかる可能性もあります。
この時点で円安が進みますと、あるいはトヨタの株高もあるかもしれない。まあ、そんな期待もひそかに持って、今後の動向を注視したいと考えております。