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水島宏明氏の4/16付けBLOGOS記事「『”見えない忍者”と闘うために検査急増を!』ノーベル賞・本庶佑氏が示したコロナとの戦争論」へのコメント

水島宏明氏の4/16付けBLOGOS記事「『”見えない忍者”と闘うために検査急増を!』ノーベル賞・本庶佑氏が示したコロナとの戦争論」にコメントしました。


玉川徹氏と本庶佑氏は、似たようなことを語っているのですけど、その趣旨は微妙に異なっているように私には思われました。

検査を増やすと医療崩壊が起こる、という事情は確かにあったわけだし、今でも野放図に検査を増やすと医療機能を阻害することも起こり得ます。

これは、法律上感染者を隔離しなくてはならず、軽症、無症状の人を入院させてベッドが占領されると、重症者を格納できなくなってしまうという事情があったのですね。

だから、検査の強化は、ホテルなどを転用した隔離施設の整備と並行しておこなわなければならない。自宅に隔離、という手もあることはありますけど、これは家族を感染させてしまう。やはり、専門の施設に隔離させるべきでしょう。

で、新型コロナを撲滅するためには、検査は必須で、その部分に関してはお二方とも一致しておりますし、正しい認識です。なにぶん、軽症、無症状の感染者が街中を歩いていたら、この人たちが他人に感染させてしまう。だから、症状の有無軽重を問わず、感染者は一人残らず隔離しなくてはいけないのですね。

従来の検査を重症者に限っていたのは、隔離施設が整うまでの、緊急避難的措置であったと考えるべきでしょう。

検査数を増やす際に注意すべきことは、感染者数の増加が、感染拡大によるものなのか、検査強化によるものなのか、その切り分けをしっかりしなければいけません。さもないと、いたずらに国民の不安を煽る結果になってしまいます。(この部分の解説を、4/18、下に追記しています。)

現在の我が国の感染者の増加も、そのかなりの程度は、検査数の増大に起因している可能性が高いのですね。

様々な感染防止策は、社会経済に大きなダメージを発生させ、国民の生活を困難にする。だから、感染拡大が、事実生じているものなのか、検査強化による見かけ上のものなのかは区別して、不要な対策は取らず、必要な措置をしっかりとするようにしなくてはいけません。


4/18追記:検査に関しては、旧来規準、新基準、CTなどの区分ごとに感染者を計数し、過去と比較する場合は旧来規準で検出された数値で比較すればよいですね。

そうしませんと、検査範囲を広げること自体が感染者の増加につながってしまい、より強い対応を求められたりする危険があります。実態を把握するためのデータは、同じ基準で得たデータを用いなくてはならないのですね。


4/17追記:返信とそれに対するお答えです。

真女神
検査の問題は陽性の人を入院させなければいけないというのもあるが、それよりも、「陰性」が感染していないということを担保できるわけではない、ということ。

誰しも陰性という判定が出たら気が緩む。しかし感染を広げる可能性がある。検査がそれを助長するというのが問題。

瀬尾氏ならそれを理解と思っていたが。


真女神
理解していたと


瀬尾 雄三
真女神 さん

| 「陰性」が感染していないということを担保できるわけではない

誤陰性の問題ですね。

現在のPCR検査は、詳しいところはよくわかりませんが、感染者の30%程度が陰性と判断される、とも言われています。だから、検査を受けて陰性とされた人も、実は陽性ということは当然あり得るのですね。

で、陰性と出たからそこらを歩き回るというのですが、最初から検査をしていない人もそこらを歩き回る。7割にしたところで、陽性者を捕まえることができるのは、やはり、検査の効果ということになります。

で、その実効ですが、新型コロナの再生産数(一人の陽性者が他に感染させる人数)は2.5人程度といわれています。これも正確なところはわからないのですが、一応これが正しいとします。

で、全員を対象に検査をおこなえば、70%を隔離して新たな感染者を0にすることができますので、実効再生産数は2.5×(1-0.7)で0.75人ということになります。これが1を割り込めば、流行は下火に向かうことになります。

同じことは、濃厚接触を減らすことでもできるわけで、8割おじさんに従えば2.5×(1-0.8)で0.5になり、一世代ごとに新規感染者が半減します。

この数字、安倍さんに7割に値切られたわけですが、それでも0.75になるわけで、一応効果がないわけではない。6割まで値切られると、実行再生産数1.0となって新規感染者は全然減ってくれないのですが、、、

もちろんこれ、両方やれば効果抜群。再生産数を減らせば減らすほど短期間で収束しますので、死者の総数も抑えることができますし、経済に対する打撃も少ない。どちらも大いにやるべき政策ということになります。


さらに議論が続いております。

真女神
>感染者の30%程度が陰性と判断される、とも言われています。

瀬尾さんともあろう人がこの数値に振り回されるとは。
実際にはこの数値自体が怪しいということを認識した方がいい。
なぜなら、この数値は結果的に陽性になった人のみが対象だから。つまり、実際には調べるタイミングが適切ではない無症状の人が含まれていないし、含みようがないから実際の数値がわからない。なかなか新規感染者数が減らないのも、そういう人が感染を拡大させていると考えないと、減らないことの説明ができない。


瀬尾 雄三
真女神 さん

| 実際にはこの数値自体が怪しい

新型コロナに関しては、まだ完全にわかっているわけではありませんから、すべての数字が怪しいです。

でもそれを言ってたら、対策の考えようもないわけで、仮定仮定で考えていくしかないのですね。

いま、新規感染者数が減らないのは、野放しになっている感染者が多いことは確かでしょう。でも、そもそも検査を限られた人に対してのみ行っているのだから、そうなることはあたりまえなのですね。

だからまずしなければならないことは、検査を増やすこと。それを可能とする条件は隔離施設を充実させることで、これは軽症者の受け入れ施設拡充でクリヤーされつつあるのですね。

とはいえ、そうしたところで100%の人間を検査することはできないわけで、接触を減らすなどの対応も並行して進めるしかない。

そうしたことがどの程度役に立つかの目安を知るうえで、仮定の多すぎる数値も、まあまあ、役に立たないわけではない、というわけです。

これらの数字が大きな誤差を含むであろうことは、最初から覚悟の上と考えなくてはいけません。そして、状況をみて、作戦を柔軟に変更すること。こういう姿勢が大事たと思いますよ。


4/17追記:さらに返信を頂いております。

Toshimi Minoura
> つまり、実際には調べるタイミングが適切ではない無症状の人が含まれていないし、含みようがないから実際の数値がわからない。

感染者および非感染者を含む母集団において、偽陰性が出る確率は、ベイズ推定を使って求められます。

PCR検査の感度は70%とします。特異度を90%としていますが、私が読んだ文献によりますと、PCR検査の特異度は100%です。

https://www.eurosurveillance.org/.../1560-7917.ES.2020.25...

特異度を100%とすれば、擬陽性は0人です。

これらのデータにもとづいて、東京における偽陰性の発生確率をもとめます。

検査数 =1000万人
感染者数 =10000人 これは累積感染者数でなく、保菌者です。
真陽性者数 =7000人
偽陰性者数 =3000人
非感染者数 =9990000人
真陰性者数 =9990000人
擬陽性者数=0人

偽陰性発生確率=偽陰性者数/(偽陰性者数+真陰性者数)
=3000/(3000+9990000)
=3000/9993000
≑ 0.0003

偽陰性発生確率は極めて小さいです。つまり、PCR検査の結果が陰性で感染者である確率は、0.03%ということです。

逆に、PCR検査の結果が陽性であれば、擬陽性者数は0ですから、100%の確率で感染者です。


Toshimi Minoura
計算式

人口 N = 1000万人
有病率 N = 0.001 (1万人)
感度  Ss = 0.7
特異度 Sp = 1.0

真の状態
陽性   陰性
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
検査結果  真陽性  偽陽性  陽性適中率 =
陽性     a    b    真陽性の数 /検査陽性の数
7000    0

偽陰性  真陰性  陰性適中率 =
陰性     c     d    真陰性の数/検査陰性の数
3000    999万
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


Toshimi Minoura
総人口 N、有病率 Y、感度 Ss、特異度 Sp

a + b + c + d = N = 1000万
N ・ Y = a + c = 1万

感度 a / (a + c ) = Ss
特異度 = d / (b+d ) = 999万/(0 + 999万)= 1.0

a = (a + c ) ・ s => a = N ・ Y ・ Ss

偽陰性 c = N ・ Y - a = N ・ Y ・ (1 – Ss)

偽陰性適中率 = c / (c + d ) = Y ・(1 – Ss) / (Y ・(1 – Ss) + ((1 - Y) ・Sp)

b + d = N - (a + c) = N - N ・ Y = N ・ (1 - Y)

特異度 d / (b + d) = S p

b / (b + d) = 1 - Sp
b / (b + d) = (1 - Sp) => b = (b + d) ・ (1 - sp)

偽陽性 b = N ・ (1 - Y) ・(1- Sp)

陽性適中率 = a / (a + b) = Y ・Ss / (Y ・Ss + (1 - Y) ・(1 - Sp)
偽陽性適中率 = b / (a + b) / ((1 - Y) ・(1- Sp) / (Y ・Ss + (1 - Y) ・(1 – Sp)


瀬尾 雄三
Toshimi Minoura さん

| PCR検査の感度は70%とします。

感度70%ということは、偽陰性が30%あるということではないですか?

もちろん、複数回繰り返し検査をおこなえば、感度を高めることはできるのですが、治癒確認のようなケース以外で、こうしたことを最初から無症状の人に(ドライブスルー検査やウォークスルー検査で)行うものなのでしょうか?