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厚労省がデータ不正、と

森田洋之氏の5/19付けアゴラ記事「厚労省が公式にデータを修正 →『ワクチン有効』は嘘だったの衝撃」によりますと、ワクチン接種回数が増えるとコロナ感染率が低下するという同省公表のデータは『嘘だった』と。


今回のデータ偽造問題

森田氏が補足として掲げた図は以下の通りです。10万人あたりのコロナ陽性者数を、ワクチン接種回数別(青が0、オレンジが2、灰色が3)別に示したものです。1回接種というクラスが表示されていないのは違和感がありますが、そういう人はほとんどいない、ということなら、まあ、妥当です。

問題は、今回の『データ修正』で、未接種の人の陽性者割合が急減して、二回接種と大して変わらない(年代によってはそれ以下!)になってしまったこと。以前のデータだけ見た人は、「ワクチンを打てば感染防止も期待できますね」などと考えたかもしれませんけど、これは真っ赤な嘘、ということになります。

何でこんなことが起こったかといえば、「接種回数不明」を「未接種」にカウントしていたため。接種回数がわからないなどということは、普通には起こりそうもないのですが、やばい職業の人などで、正体を隠したい人は「ワクチン接種? そんなのわしゃ知らん!」とか言いそうで、そういう人がコロナにかかりやすいということがあるのかもしれません。

いずれにいたしましても、これが故意であろうと過失であろうと、厚労省にはこの手の問題を扱う資格はない。さっさと厚労省は解体して、省庁業務を再編しなくちゃいけません。

まあ、そんなことは、ずっと前からわかっていたことなのですが、、、

統計的データ処理の難しさ

こういう単純な問題以前に、この手の統計的なデータ処理で何かを言おうとするなら、その裏にあるデータ構造を考えておかなくてはいけません。つまり、ワクチン接種とコロナ感染のしやすさに、仮に相関関係があったところで、因果関係があるとは限らない。

事象A(ワクチン接種)と事象B(コロナ感染)の間に相関がある場合も、(1)Aが原因でBが結果ということにはなりません。下の図を見て頂けばわかりますように、(2)Bが原因でAが結果である場合も同じ相関関係が生じますし、(3)共通の原因XによってAとBの双方が結果として生じている場合も同じことが起こる。

(2)が生じるのは、コロナ感染のリスクが高い(感染したかな?)と認識した人がワクチンを接種するような場合にこういうことが生じてしまいます。

(3)はたとえばどういう場合かといえば、コロナにかかりそうな人がワクチンを接種するということが、もしもあれば、そしてワクチン接種のコロナ予防効果がさほどでもない場合に、この関係が生じる。このようなことは現実に起こり得るわけで、多数の人に濃厚接触する職業の人は、おそらく、ワクチン接種を受けたいと思うでしょう。こちらのケースは、ワクチン接種と感染に正の相関が現れます。

また(3)に関しては、逆の効果が生じる可能性もある。つまり、コロナ感染対策をきちんとする人は、マスクや手洗いをきちんとするだろうし、ワクチンも接種する。逆に、あまり気にしない人は、マスク手洗いもずさんだし、ワクチンも接種しない。ワクチンを打った人にコロナ感染者が少なくても、それは、マスク手洗いをきちんとやっているから、という話にだってなりかねないのですね。この場合は、ワクチン接種と感染に負の相関が出る。つまり、何の効果もないワクチンも、見かけ上の感染防止効果が表れるわけです。

上のグラフでは、ワクチン接種回数とコロナ感染率に関係がないような結果になっているのですが、もしもこれが(3)の影響で相関がキャンセルされているのだとすると、このデータは考え直さなくてはいけません。つまり、ワクチンには感染予防効果がある、というのが事実であるのかもしれません。

最大の問題は厚労省の組織的無脳さ

元々、ワクチンは、感染防止効果ではなく、重篤化回避効果が期待されたもので、重症にならないならウイルス飛散量も抑制されることが期待されるため、他人に対する感染防止効果も期待されておりました。ワクチン接種開始当初は、効果確認に時間のかかる感染防止効果は確認されていなかったのですが、その後感染防止にも効果ありとするデータが海外からはちらほらと伝えられておりました。

自分が感染しない効果はともかくとして、おそらくは、他人に対する感染防止効果はあるはずで、ワクチン接種率を上げることは国内の感染防止にも意味があるはずなのですが、厚労省の今回のチョンボは、この手の活動を根底から困難にしてしまいます。

この大間違いの原因は、第一に、統計的知識が、皆無、とは言いませんけど、恐るべき貧弱さにあり、専門的知識をきちんと保有している人に担当を入れ替えなくてはいけない。また、感染症に関する知識や海外文献の読解力も相当に怪しいわけで、専門家チームをそっくり入れ替える必要があります。

また、外部発表は上司の許可を得ているはずなのですが、こういうチェックも全然働いていないということは、上位の職を含めて能力不足が現れているというしかない。つまりは、組織の再編が必要ということになります。こういうことは、大昔からわかっていたことで、政府の責任も問われるような問題だと心得なくてはいけません。

まったく、いい加減にしてもらいたいものです。

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