昨日の日記で、発想法について触れましたので、これについて、今日は書いてみましょう。
新しいアイデアを発想することが大事だというと、思い付きのアイデアをいろいろと出してくる人がいます。まあ、思い付きも、何も思いつかないよりははるかにマシなんですが、思い付きというのは、モノにならない場合が多い。
モノになるアイデアが一つ出てくるためには、無数のアイデアを試す作業が必要です。その篩い分けの工程を省いて、頭に浮かぶアイデアを次から次へと提案されては、聞く方はたまりません。また、篩い分けの工程を通して、良いアイデアが浮かびやすくなるということもあります。
さて、それでは、良いアイデアを出すためには、どうすればよいでしょうか。また、篩い分けってのは、どのように行えばよいのでしょうか。
第二次大戦の頃、、日本軍がまんまと騙されたインチキ発明がありました。金属アルミニウムの粉と、酸化鉄(鉄さび、ですね)を混ぜて火をつけると、鉄ができます。それを鉄の製造法として実演した人がいたんですね。でも、金属アルミニウムを作るのは、鉄を作るよりも、はるかに大変です。
この話の教訓は、原料について考えなければいけないというものです。この教訓を拡張すれば、提案しようとしているプロセスの周辺を考えなくてはいけないということですね。原料、エネルギー、装置を構成する材料、それらのコスト、安全性、環境の問題、などなど、、、
第二に、実現可能なものでなくてはいけません。まず、科学的に成り立つこと、モノやエネルギーの出入りがバランスしていること、物理や化学の法則に反しないこと、経済的に成り立つこと、時間的、空間的にに無理のないこと、、、
昨日の日記に書いた、偽の制約条件を破るというのは、実は、良いアイデアに付き物のようなものです。偽の制約条件は、一言で言えば、自由度を吟味することで超えることができます。一つは、社会的自由度、即ち、組織的な縄張り、自分の仕事の範囲を逸脱する、という手があります。もう一つは、物理的な自由度で、一次元で設計しているなら、二次元での設計に変える、といった手です。
先人の業績は、乗り越えられるべきものですが、先人を馬鹿にしちゃあいけません。今行われている方法は、何らかの、合理的理由によって選ばれているはずです。改良を試みる者は、既存の技術を選択した背景について、よく学んでおかなくてはいけません。
技術は日々進歩し、経済的環境も変化しています。だから、以前不可能であった方法も、今日では採用できるかもしれません。既存の技術を理解し、新しい変化を知っておけば、新たな方法が着想できる可能性は高まるでしょう。
よくある例では、マイクロエレクトロニクスの進歩を利用すること、ソフトウエアで処理すること、ネットワークを使うこと、などなどですね。
さあ、それでは、良いアイデアを、じゃんじゃん生み出してください。