Business Journalがとんでもないお詫び記事を配信しています。
一般に、引用は一部だけ行うのですが、この記事に限っては、全体が重要部分であることから、以下全文を引用いたします。
当サイトに掲載した8月25日付記事『NHK特集、「貧困の子」がネット上に高額購入品&札束の写真をアップ』における以下記述について、事実誤認であることが発覚しましたので、次のとおり訂正してお詫びします。
まず、「取材の映像でも、少女の部屋はモノで溢れており、エアコンがないと言っているにもかかわらず女子高生の部屋にはエアコンらしきものがしっかりと映っている」と報じましたが、実際には、女子高生の部屋にはエアコンはなく、取材の映像にエアコンらしきものがしっかり写っているという事実も確認できませんでした。
当該記事は外部の契約記者が執筆したものであり、NHKに取材をして回答を入手したと記述しておりましたが、実際には回答を入手しておらず、当編集部も確認を怠った責任があります。
当該記事では、「今回の疑惑に対しNHKに問い合わせのメールをしてみたところ、「NHKとしては、厳正な取材をして、家計が苦しく生活が厳しいという現状であることは間違いないと、担当者から報告を受けています。ですので、ネット等に関しましては、取材の範囲ではありません。但しご意見は担当者に伝えます」との回答を得た」と報じましたが、実際には、弊社はNHKに取材しておらず、回答は架空のものでした。
弊社は、今回の記事において、何ら根拠なく、「NHKがまたやらせ問題で揺れている」「貧困は社会が抱える大きな問題だが、だからといって報道でそれを捏造してしまえばたちまち矮小化されてしまう」などと報じることで、読者に対し、あたかもNHKが「やらせ」「捏造」を行ったかのような印象を与えたことにつき、取材が十分ではありませんでした。NHKに対し、深くおわびいたします。
また、今回の記事の掲載により、女子高校生やご家族、並びに読者の皆様に多大なるご迷惑をお掛けいたしました点についても深くおわびすると共に、他に同様の事案がないか調査し、厳正な処分を行うとともに再発防止に取り組みます。
これはひどいですね。ネットの記事は、信ぴょう性が低い記事も多いのですが、Business Journalは、きちんとした組織体で運営しているわけで、もう少しまともにやっていると思っておりました。まあ、健康に関するあおり記事など、低質な週刊誌レベルの記事も多かったことは事実ではあるのですが、、、
本件、おそらくはNHKからの抗議に対応する形で書かれているのでしょうが、ここまでひどい記事を書いてしまいますと、少女の側から名誉棄損で訴えられる可能性も多分にあります。今日、弁護士は仕事の確保に困っており、サラ金の過請求に対する訴訟のように、成功報酬での訴訟を引き受けることだって十分に考えられるところ。ネット上で何かをしようとする際には、このようなリスクを十分に考えて行動しなくてはいけません。
なお、公人に対しては、それが真実であるならば名誉棄損を構成しないのですが、私人に対しては、仮にそれが真実であっても名誉棄損とされるケースもありますので、十分な注意が必要です。
本件、イケハヤ師も取り上げておられますね。なんとなく、まとめサイト的なエントリーですが、、、
イケハヤ師は、貧困問題に関心を寄せて現実的な活動もされておりますから、ビジネスジャーナルなりサイゾーなりリテラの貧困バッシングに批判的となることは大いに理解できるところです。でも、イケハヤ師に批判的な人たちは、PV稼ぎでこの話題を取り上げていると思うのだろうなぁ、、、 まあ、普段の言動が言動ですから、誤解されるのも無理はないのですが。
6/22追記:Business Journalの元記事に、以下が追加になっております。
■本件に関する当社の処分について
当社は、報道に携わる者として今回の問題を真摯に受け止め、今般、代表取締役揖斐憲の役員報酬の減額(2016年9月より3カ月間にわたり50%の減額)を含め、就業規則に基づき、編集長及び担当編集員に対し、厳正なる減給処分を実施致しました。もちろん、関係者の処分をもって今回の問題が解決されるわけではございません。記事によりご迷惑をお掛けいたしましたNHK、報道対象者の方やご家族にあらためて深くおわび申し上げるともに、引き続き、誠意を尽くして対応してまいります。また、再発防止に努め、読者の皆さまの信頼回復にまい進する所存です。
2016年9月2日
株式会社サイゾー
この件に関して、いくつか疑問があります。
第一に、この記事の日付は9月2日付となっているのですが、古い記事を修正する形で(つまり古い日付の位置に)掲載されております。本来であれば、9月2日付で出す以上、この日付の位置に改めて掲載すべきところでしょう。
うがった見方をすれば、古い記事を修正する形で出せば、あまり人の目に触れずに済む、などと考えてそうしたのではないかとも思われてしまいます。
ここはきちんと日付に対応する箇所に、新しい記事として掲載すべきでしょう。
第二の問題は、処分の対象者に「外部の契約記者」が含まれていないこと。外部の契約記者につきましては、これまでもネット上で、そんなものは存在せず、編集部の内部の人間が書いたのではないかと噂されておりました。処分対象に外部の契約記者が含まれていないことは、この噂を裏付ける材料でもあるように思われます。
誤報の訂正・謝罪記事に嘘があってはいけません。このあたりも、きちんと事実を開示すべきところです。
この問題、今後の展開には、まだまだ注目しておかなくてはいけません。