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堀江貴文著「バカは最強の法則:…」を読む

本日は、最近(初版発行2017年7月31日、といえば今日ですね)出版となりました堀江貴文・松本勇祐共著「バカは最強の法則: まんがでわかる「ウシジマくん×ホリエモン」負けない働き方」を読むことといたします。

凄く売れている「馬鹿本」

実は私、BLOGOSにもコメントいたしましたように、表題に「馬鹿」が含まれております「馬鹿本」を集めております。馬鹿本、どこかで聞いたことのある言葉ですね。馬鹿本のパパ、とか、、、

何でこんなものを集めることになったかといえば、その昔ネットの炎上について研究していた時、「馬鹿」が含まれるメッセージが出てまいりますと、炎上に至るケースが多々あることに気付き、「馬鹿の社会学」といったテーマを掘り下げてみようかと考えたことがあったのですね。その手始めに、馬鹿が表題に含まれる書物を手あたり次第読もう、ということに、、、

ネットの喧嘩に関する研究は、一応学位論文として完成を見たのですが、そのあとも、書名に「馬鹿」を含む本はなるべく読むようにしていたのですね。

で、今回の堀江氏の書物ですが、これ、現時点ではかなりのレアもの。書店では軒並み売り切れとなっており、3軒目にやっと残っていた最後の一冊を入手した次第です。ちなみにアマゾンの在庫は「あり」となっていますね。すぐに読みたい方は、とりあえず上のリンクをクリックされることをお勧めします。

章立て

同書の章立ては以下の通りです。

Episode1 バカは頭が良い人よりも成功しやすい
Episode2 デキないヤツを助けていると転落する
Episode3 カネ儲けで一番大切なリスク管理の話
Episode4 SNSで簡単に「いいね」するヤツは危険
Episode5 カネの本質を知らないヤツは失敗する
Episode6 ビジネスはギブ&ギブ、おまけにギブ!
Episode7 ブラックな勤め先はすぐに飛び出せ!
Episode8 バカになって走り回ったら…

協調性の問題

Episode1 バカは頭が良い人よりも成功しやすいの中に、協調性を否定的にとらえる記述があり、全くその通りであると考えた次第。じつはこのブログでも以前、協調性はマイナス評価すべしとの主張を述べたことがあったのですね。

協調性を否定するこの部分、「謎のビジネスマン・ホリー」と「カウカウ銀行六本木支店融資課勤務の小早川ユウコ」の会話をシナリオ風に記せば次のようになるでしょう。

ユウコ:で、でも社長と違って私たち会社員には協調性も重要なはずです。
ホリー:どうやら日本の間違った義務教育に洗脳されているようだな。
ユウコ:え? 私が洗脳… どういうことですか?
ホリー:学校内では、いまだに協調性が重要視され、「周りと違うことをするのはダメ」という考え方が根強く残っている… こどもは自分と他人を見比べて、個性を押し込める能力が、嫌でも身につくだろう。しかしビジネスに求められるのは、協調性より競争力なのだ。
ユウコ:!
ホリー:IT革命以降、ネットが急速に普及し、今やグローバル社会。世界基準で物事を判断していかないと生き残れない。そのためには、スピーディに動き出し実践していく能動性、つまり競争力がまず必要なのだ。
ユウコ:でも組織では協力して仕事を進めないと…
ホリー:協調性は、不要だとまでは言わないが、役立つ場面は急速に減っている。協調性は、伝統だとか組織力を上げるためには大事だとか、理由づけする人もいる。でも実際は、単なる「惰性の遺産」だ。隣に座っている社員と同じように仕事したり、同い年の子供と同じ授業内容で勉強したりしなくてはいけない利点を、理屈立てて答えられる人はまずいない。ニッポンの会社は、学校教育の協調性重視のマインドに、影響されすぎている。そして、嫉妬に足の引っ張り合い、派閥づくりにいじめなど、学校で起きている悪い習慣は、ほぼ会社の中でも起きている。この接続を断ち切らない限り、おかしなプライドに縛られ、周りの目ばかり気にして人生をすり減らす、サラリーマン社会は変わらないだろう。
ユウコ:さっき私が洗脳されているって言われた理由、わかってきた…
ホリー:どう? 三振を恐れないバカになる気になったかい?
ユウコ:…
ホリー:起業したいなら覚えておけ。協調性なんか無視し、自分の好きなことをやる覚悟があればいいのだ!!

これ、漫画で読むとさらっと読めてしまうのですが、文章に起こすとなかなか意味深な内容であるようにも思えます。でも、よく考えると、ちょっとヘンといえばヘンです。ホリエモンの主張は次のどれなのでしょうね。

(1) 協調性は、日本の学校教育の悪しきやり方であり、それが会社での仕事にそのまま引き継がれているがゆえに、さまざまな社内の弊害を引き起こしている。

(2) 今日要求されているのは、他人と同じことをする協調性ではなく、スピーディな能動性、競争力である。

もし(1)であるというなら、なぜ協調性が悪いかという分析が少々不足しております。一方、(2)であるというなら協調性が競争力を損ねる理由が判然としません。協調性と競争力、音の響きは似ているのですが、この二つの言葉は対立概念ではないのですね。

この部分、私の前回のブログであれば、このあたりは明瞭でしょう。つまり、研究所に要求されているのは、(他人と同じことをするという)協調性ではなく(他人とは異なることをするという)独自性である、というのですから。

結局のところ、ホリエモンが指摘されておりますネットの時代というのは、物事が急速に変化していく時代であり、変化にいかにスピーディーにキャッチアップするかが問われる時代となっているわけで、変化に気付いた人間がまず動くことが要求されるということでしょう。変化に全員が気付くまで待っていたのでは遅れてしまうということですね。そうであるなら、上記(2)もまずまず正しい記述ということになります。でも、このあたりはきちんと書かないとわかってもらえないのではないでしょうか。

その他

同書はそのほかにも面白い箇所がいろいろあります。強いてあげればEpisode6 ビジネスはギブ&ギブ、おまけにギブ!あたりかな?

ただ、あまり多くを引用しておりますと、主従の関係が逆転してしまいますので、ご紹介はこのくらいにしておきましょう。

ネットと言いますのは、およそ無料が前提。ブログもそうですけど、基本はギブ&ギブです。まあでもこれで、私の考えていることが多くの人に伝われば、それでよしとするのが最初の考えなのですね。

もちろん、アフェリエイトで儲けてやれなどという下心も、ないわけではないのだが、、、

ギブ&ギブで信用をつけて商売につなげるというのがホリエモンの主張の様子で、確かにベンチャーを起こすなどということになりますと、そういう要素もないわけではないのですが、多くの人にとってはその手前にも意味があると思います。つまりは、自己の確立、ということですね。

このあたりにつきましては、いろいろとややこしいはなしになってしまいますので、次の機会に議論したいと思います。