篠田英朗氏の6/2付けBLOGOS記事「緊急事態宣言とは何だったのか」にコメントしました。
> 「もしピークが4月7日より前だったとしたら、本当に緊急事態宣言を発する必要があったのか?」という問いが出てきた <
このあたり、非常に興味深い展開でしたので、簡単に整理しておきます。
まず、3月末の時点で、もはや非常事態宣言が出ることは時間の問題と考えられておりました。
で、区切りの良いところで、4月1日に出るとする予想もあったのですが、この日は不幸にしてエイプリルフールだったのですね。
その代わりに4月1日に発表いたしましたのが、世界に先駆けて布製マスクを全国民に配布するという、世に名高い「アベノマスク」の発表で、私はこれがエイプリルフールネタじゃないかと考えてしまった。
実は、その翌日の4月2日の時点で、間もなく非常事態宣言との情報が流れました。これは怪しげなニュースではあるのですが、非常事態宣言に際しての混乱を避けるため、官邸が予め一部企業に耳打ちすることはありそうなことでもあり、ひょっとすると事実であったのかもしれません。
でもこの情報がネットに流れ出たりすると、官邸としてこの情報通りに非常事態宣言するわけにもいかないと考えることもありそうで、その結果が4月7日であるとすると、なるほど、つじつまが合うのですね。
この怪しげなニュースに関しては、事実かどうかは永遠に闇の中だと思いますけど、非常事態宣言が出たのは、確かに4月7日ではあるけれど、これが出ると人々が認識したのは4月1日ごろであって、そちらが感染発生のピークとほとんど一致していたということは言えるでしょう。
つまり、「政府が非常事態宣言を出す」ことが重要なのではなく、「非常事態宣言が出ると人々が認識する」ことが感染拡大を防いでいたなら、これはきちんと効果を発揮していた、ということになるわけで、まあ、そういうことが起こったのではないかという気がする次第です。
コメントがついておりますので一言ご説明しておきます。
mitsu minomi
2020-06-02 15:48:50
>>4月7日の時点で「医療提供体制も逼迫してきていた」(『状況分析・提言』2頁)ことが事実であれば、緊急事態宣言は首尾一貫したものとして正当化できる。
安倍首相はこの点常に一貫しているね。
安倍氏の緊急事態宣言に関しては、ちきりんさんのまとめがBLOGOSにも転載されております。これを再読すれば、このエントリーにあるように、緊急事態宣言は医療崩壊を防ぐためという目的が強調されていたこと、内容はお願いベースのマイルドなものであったことが分かると思います。
問題は、この宣言で十分な効果が得られなかった場合、さらに強力な手が打てたかどうかという点で、その後の議論をみておりますと、これ以上の手は打ちにくいのではないか、というちょっと恐ろしい思いに駆られるのですね。
おそらくは涼しくなったころに発生する本格的な「第二波」への備えとして、より強力な手を打つことを可能とする立法措置が必要なのではないかと思います。これはたとえば、交通機関の遮断や外出禁止令などのいわゆる「ロックダウン」を可能とする項目や、営業停止命令のための法的根拠などの内容を含めたらよいのですね。
ワクチンや治療薬が早期に開発されると良いのですが、そうでない場合には、もうひと冬を越す必要があり、強力な第二波がやってくるものと覚悟しておかなくてはいけない。その際に打てる手をなるべくたくさん準備しておくことは、決して無駄ではないと思う次第です。
>>4月7日の時点で「医療提供体制も逼迫してきていた」(『状況分析・提言』2頁)ことが事実であれば、緊急事態宣言は首尾一貫したものとして正当化できる。
安倍首相はこの点常に一貫しているね。